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湘南の国語

湘南の国語は長文読解が2題と漢字。そして作文です。

例年1問目が漢字になるわけですが、最近は漢字の書き取りにはなっていないところがあり、むしろことばの問題として捉えた方が良いでしょう。同音異義語、反対語など割と熟語の問題が多くなりました。

それ以外にも慣用表現、擬態語、擬音語なども出題されるので、ことばに関する知識はなるべく多くしていきましょう。それでもその場で思いつかない、ということはありますが、練習は続けて行きましょう。

長文読解は、物語文と説明文の読解で、これは多くの学校とパターンが同じです。記述の問題も若干出ますが、あまり長くはないし、本文の表現を書き抜く問題も多いので、これは類題がたくさんあります。

近年、物語文について採録する文章が大分長くなってきました。ある程度読む速度も必要だとは思いますので。練習を積んで行きましょう。

ここまでは、割とどの学校にも通用する対策になるわけですが、作文はあまり見受けられない出題となります。

毎年、いろいろなテーマで作文を書かされることになりますが、概ね百字程度です。

自分の考えをまとめて表現する、ということがメインのテーマで、その問題が多岐にわたります。ただ、ひとつだけが正解というわけではないので、どちらかといえば考えをしっかりまとめて表現できるか、ということに採点の基準がおかれています。

これは進学後、レポートが多くなるので。自分の考えをまとめる作業があまり得意でない子どもを見分ける必要があるから、ということのようです。したがって、過去問を中心に練習し、作文を書く機会を増やして行ってください。

良く天声人語などの要旨をまとめる練習をさせる塾がありますが、これは湘南が求めていることと違います。あくまで、自分の考えをまとめて相手にわかってもらうように文章にするということなので、テーマは何でもいいわけですから、なるべく書く機会を増やすのがよいでしょう。

慶應湘南の算数

湘南は3校の中で算数の問題が一番少なくなります。

おおむね大問6題。最初の2題は一行問題や計算が小問に分かれている場合が多く、3番と4番は標準的な応用問題。5番、6番が発展した問題と位置づけることができます。

湘南の場合、帰国子女も同じ問題を解くので、あまりに難しい問題ばかりを並べると差がつかなくなる。一方でやさしい問題ばかりを並べると一般生の差がつかなくなる。

ということでこういう構成になってきたのではないかと思っています。

帰国の生徒の場合はだから4番までをまず正確に解くことを考えさせます。5番、6番は前半の1問、ないし2問が解ければよし、と考える。

一方、一般の場合は4番まではノーミスでいってほしい。5番、6番が半分はできて合格ラインかな、というイメージを持っています。

したがって帰国か一般かで対策は多少違います。

帰国生の場合は4番までがひとつの目標だから、あまり難しい問題はやらない。むしろ一行問題や基本問題を徹底的にやり、そこから中堅の男子受験校ぐらいの問題が解けるように練習します。

一方、一般の場合は4番まではとにかく正確にノーミスでこなければいけないから、その部分は帰国と同じですが、さらに発展して応用レベルの問題まで練習をする必要があります。

で、夏休みまでは特にこの難しい問題の対策を考える。逆の順番をイメージされるかもしれませんが、難しい問題を考えるためには時間が必要なのです。そして、難しい問題を解くためには当然、基本がわかっていないといけないわけで、難しい問題をじっくり考える、ということは基本も確認できる。ただ、時間がかかる分だけなるべく早めに練習をしたいのです。

そして後半はむしろミスなく、確実に解く練習をしていく。さらに言えば、自分ができる問題を見分けて、時間内になるべく多くの点数をとるというような練習をします。

だから夏休みまでは、難しい問題に挑戦してください。といっても、全部の問題ができるわけではないでしょう。1問15分考えてだめなら、そこで解説を読んで、解き方を理解することです。なぜ、こうなるのか?解説を読み解いてください。そしてできればもう一度自分で答えを出してみる。

「なるほど、こう解くのか。」とわかれば一問終了です。

一問をここまで終わるのに結構時間がかかりますが、これは絶対にかけてください。たくさんの問題を解いてもこの時間が少なければ力はつきません。本人がどのくらい納得いったかが、大事なのであって、解いた問題数が多ければ良いというものではありません。あわてずにじっくり取り組んでください。

平面図形に関する問題

2022年慶應湘南藤沢中等部の問題です。

次の図は、たて24 cm、 横32 cm、 対角線の長さが40cmの長方形ABCDである。また、BDを直径とする半円を図のようにかくと点Cは半円上にある。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とする。
(1)かげのついた部分の周りの長さを求めなさい。
(2)かげのついた部分の面積を求めなさい。
(3)長方形ABCDをBDを折り目として折り返したとき、頂点Cの移る点をE、BEとADの交点をFとする。このとき、三角形BDFの面積を求めなさい。

【解説と解答】

(1)40×3.14÷2+24+32=62.8+56=118.8
(答え)118.8cm
(2)20×20×3.14÷2-24×32÷2
=628-384=244
(答え)244cm2
(3)三角形ABFと三角形EFDは合同の直角三角形です。
三角形FBDはFB=FDの二等辺三角形になるので、FからBDに垂線を下した線とBDの交点をOとするとBO=ODとなり、三角形BFOは直角三角形。
ここで角FBOと角DBCが等しいので、三角形FBOと三角形BDCが相似。
BO=20cmからFO=20×24/32=15cmになるので、
三角形FBD=40×15÷2=300
(答え)300cm2

速さに関する問題

2022年慶應普通部の問題です。

点Oを中心として円周の長さが480 cm と360 cm の2つの円があります。大きい円の周上に点Pがあり、時計回りに毎秒6cmで円の周上を動きます。小さい円の周上に点Qがあり、時計回りに毎秒2cmで円の周上を動きます。右の図のように、はじめ、点P、0、Qは一直線上に並び、点PとQは同時に出発しました。半径OPとOQのつくる角の大きさがはじめて30°になるのは、点P、Qが出発してから何秒後ですか。

【解説と解答】
角速度で考えると、Pは毎秒360÷(480÷6)=4.5°になり、
Qは毎秒360÷(360÷2)=2°になるから、Pの方が速くなります。
最初180°開いていた角度が毎秒2.5度ずつ減っていきますから、
(180-30)÷(4.5-2)=60秒
(答え)60秒

中等部の社会

中等部の社会は、以前、理科と同じように記号の答えがほとんどでした。

しかし、ここのところ、それだけではなく、国語と同じように自分のことばで答えを書く問題が増えています。記述の問題も出てきているので、それなりにしっかりとした対策を立てる必要が出てきました。

まず基礎なる知識をしっかり覚えて、過去問を練習する、ということになるわけですが、国語ど同じようにやはり若干変わった問題が出ることがあります。

例えば式年遷宮に合わせてお参りの作法についての問題が出題されたり、和食の膳の並び方が出題されたりします。

大人にとってはそれほど難しい問題ではないかもしれませんが、今の子どもたちにとっては結構縁遠い問題もありました。国語で歌舞伎、能、狂言などの問題がでているのと同じで、日本の文化についてある程度勉強してほしいという気持ちが表れているように思います。

したがって、塾で勉強する知識に加え、日本の家庭が持っている伝統的な行事や寺社仏閣に関する知識もある程度備わっていた方が良いのです。

だからといってそれに対応する便利な小冊子があるわけではありません。この辺はやはり研究になるわけで、冠婚葬祭なども注意しておいた方が良いでしょう。

その上で、記述問題についても多少なりとも練習をしておく必要があります。ただ、これまでの過去問にはほぼありませんので、普通部などの問題を参考にしておくと良いでしょう。