慶應湘南で、ここ数年、国語の最後に百字作文が出題されています。
今年は「左の絵は、ある働きをする四本足の物体です。どういう仕組みになっていて、どのような動きをすると考えられますか。百字以内で説明しなさい。」というものでした。
この形式になったのは平成19年。「次の詩を読んで、どんなことを想像しますか。五十字以内で自由に書きなさい。」ということで、この年は五十字でした。
それまでも記述問題は、文章内容に沿って出題されていました。
平成18年
雪の数え方を自分で考え、なぜそう数えることにしたかを五十字以内で書きなさい。ただし、「つ」と「個」を使ってはいけません。
博士はなぜ『胸がチクリと痛んだ』のでしょうか。五十字以内で答えなさい。
平成17年
この後、傍線部6「一年も通う学校だ」と考えた優希は、二学期の最初に「転校のあいさつ」をやり直しました。その後、卒業までの間、具体的にどんな行動をしたと思いますか。自由に想像して百字以内で書きなさい。
平成16年
「木のようなひと」とはどのような人だと思いますか。他の部分の書き方にならって答えなさい。」
一方それ以降、いろいろな試みがなされます。
平成20年 これは「上」という字を図案化したものです。同じように「元」という字を図案化して書きなさい。そして、なぜそのように図案化したのか五十字以内で説明しなさい。
平成21年 アイスクリームがおいしく感じられるのはなぜでしょうか。その理由を、クリームと比較しながら考えて、百字以内で書きなさい。
平成22年 「秤」という題名に込められたイメージはどのようなものでしょうか。詩の中の言葉を取り上げながら、百字以内で答えなさい。
平成23年 箱の中に、ショートケーキが四個入っています。中身をくずさないように、リボンをかけてプレゼントにしようと思います。①~⑥までの文と絵を見て、①、③、⑥の空らんにあてはまるように適切な説明を書きなさい。
この問題で、一体どのような力を湘南は見たいのでしょうか?
一見すると、なかなか無理難題、と思える問題も少なくありませんが、しかし「創造と表現」という視点で考えてみるとおもしろい問題だと言えます。
つまり「本文中に根拠」を探す必要もなく、また「難しい語彙や漢字」を覚える必要もなく、ただ、自分が思った通りに、想像した通りに文章を書くだけなのです。逆に言えば、塾ではなかなか指導しにくい部分でもあるわけです。つまり正解はひとつではない。子どもの数だけ創造があり、それが表現となればいいわけですから。
これを「おもしろい」と思う子どもたちにとっては楽しいでしょうが、定型的に文章を読むこと、漢字を覚えることばかりに気をとられてくると、足をすくわれる部分があるのです。
国語というのは、こういう面で考えれば、実はもっと楽しいものであるはずだし、自分の想像したこと、考えたことを自由に書くことは自分を主張する、スタートなのです。
次は何がでるかなあ、と思うと、ちょっとワクワクするような感覚、を子どもたちが持ってくれていれば、出題者の面目躍如となるのではないでしょうか。
学校の狙いはまさにこの点にあるといえます。
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