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普通部の理科

普通部の理科は明らかに特徴が出てきます。

他の学校に比べて明らかに生物の問題が多い。かつまた細かい。これには明確な理由があります。

慶應は付属校ですから、別に大学受験をさせる必要はない。つまり大学受験に必要な理科計算に長けていることを小学生に求めない。

逆に小学校で勉強する理科実験だったり、理科の観察だったりを大事にしたいと思っているのです。

科学はある意味、観察と実験がそのスタートとなるわけで、そこがしっかりしていないと本当にいろいろなことに気づくことができない。ただ、答えはこうなる、ということだけを知っていることが学問にとって有理かといえばそうではない。

だから普通部ではカイコなどの動物を飼わせてみたり、フィールドノートをつけさせたりする。

これは子どもたちにとってある種、苦痛な部分があるでしょうが、しかし、それが後後子どもの人生を変えることになることもあるわけです。実験を通じて関心のあることへ進んでいった子どもたちは多いわけで、したがって対策は原理原則に戻る、ということだと思います。

つまり、虫の名前を図鑑で覚えるのではなく、実際に虫を飼ってみる。

花の分解図を参考書で覚えるのではなく、実際に自分で分解してみる。

そんなまどろっこしいことをやっている暇はない、と感じられるかもしれませんが、しかし、普通部はそういうことができる子を求めているわけです。

追い込みになったら、なかなかそういう時間がとれないのは当たり前ですが、今のうちはチャンスではないでしょうか?

またスケッチは毎年出題されていますが、最初からうまくいくわけはないので、まずは模写の練習から。図鑑を見て、図を描いてみるのもこのあたりから少しずつ練習していきましょう。

普通部の国語

普通部の国語はある意味一番与しやすい問題かもしれません。

長文読解の問題が2題、1題が説明・論説文、もうひとつが物語文。読解は多くの問題が選択肢で、本文の表現を根拠に答える問題が多くなっています。長い記述があまり見られない分、選択肢とことばの書き抜きを中心に勉強すればいいことになります。

もちろん選択肢にまぎらわしいものが含まれていることも多いので、どこにその根拠があるのか、をしっかり考えていくくせをつけていかないといけません。出題者は作者ではないので、ここにこう書いてあるから答えはこうだ、という論理で答えが作られます。したがって、まずはそういう物の考え方を身につけることが必要です。

記述については、短い文での解答ばかりなので、あまり難度が高くはないでしょう。ただ、端的に答える必要があるので、早めに過去問の練習をはじめていきましょう。過去問はとっておく必要はありません。練習する最優先課題が過去問ですから、国語は今から勉強しても何の問題もありません。

知識の問題としてはやはり漢字の書き取りが中心になりますが、これはそれほど難しくはないので、塾が提供してくれる暗記テキストや出る順漢字などを使っていけばいいでしょう。

これはすでに大分勉強が進んでいるとは思いますが、今からがんばっても忘れてしまうことは多いので、秋以降がんばると良いでしょう。

湘南の理科

過去の問題を見ていると湘南の理科は知識をどう使うのか、ということに焦点を合わせていたと思うのです。

しかしここ数年はちょっと変わってきました。

今年の問題も4題で、物理、化学、生物、地学がきれいにそろっていたのですが、その問題が割とオーソドックスな感じになったのです。

ではこれまでのように、考える問題は出ないのか?といえば、そんなこともないように思えます。

慶應は大学付属校ですから、受験校のように大学受験に必要な物理や化学に対して早くから得意であることは必要ありません。

ただ今後起こりうる問題を自分で考え、その解決策や答えを導き出す力があるかどうかは必要だと考えており、そういう考え方が実際にできるかを入試で試していこうという意図は当然あるはずなのです。

したがって湘南の対策としては、オーソドックスな問題と自分で考える問題の両方を想定していく必要があるでしょう。

まずはしっかり基礎を勉強する。そして後は過去問をやっていけば良いのではないでしょうか。基礎の部分はどのみち勉強しなければいけないことだから、まずそこをしっかりやる。あとは過去の問題をしっかり練習していくと良いでしょう。考える問題はなかなか作りにくいので、ここのところ遠ざかっている、という印象が強いのですが、出ないと決まっているわけではないので、気をつけておきましょう。

容積に関する問題

2022年慶應普通部の出題です。

図1のように、底面が半径5cmの円である円柱の容器Aの中に、底面が半径4cmの円で高さが5cmである円柱の容器Bが置いてあり、容器Bの中には水が入っています。図2のような○あの面が正方形である直方体Cを、○あの面を容器Bの底につくように入れると、容器Bから水があふれ、容器Aの水の深さが2cmになりました。このとき、真上から見ると、図3のように直方体Cは容器Bにぴったりと入りました。はじめ、水は容器Bの底面から何cmのところまで入っていましたか。ただし、容器の厚さは考えないものとし、円周率は3.14とします。

【解説と解答】
Bの容積は4×4×3.14×5=80×3.14
Cの体積は底面の正方形の対角線の長さが4×2=8cmになるので、
8×8÷2×3.14=32×3.14
一方あふれ出た水は(5×5-4×4)×3.14×2=18×3.14
したがって水は80×3.14-32×3.14+18×3.14=66×3.14
なので、66×3.14÷(4×4×3.14)=4.125cm(=4&1/8cm)
(答え)4&1/8cm