月別アーカイブ: 2023年2月

基礎学力をしっかり創る

慶應の問題は偏差値に比べて、やさしい、と言われます。

そう簡単ではないと思う部分もあるのですが、しかし、そういう一面はあるかもしれません。

慶應3校は完全付属校です。選抜試験で定員の一部が確実に進学できない、というようなことはない。進級さえできれば、学部の振り分けはあるものの、全員が基本的に慶應義塾大学に進学できます。

だから大学受験は必要ないし、別に医学部進学に力が入っているわけでもない。

むしろ慶應文化の担い手として、それぞれが自分の可能性を義塾の場で大いに広げてもらうことに一義があります。

それに必要なのはむしろ基礎学力であり、読む、書く、考えるということがしっかりしていることが大事。

技術的なことを学ぶのは中学、高校、大学とあるので、適正な時期に学べば良いから、その土台だけしっかり創ってもらいたい、とそう考えているのです。

だから、いたずらに難しい問題を解けるよりは、しっかりとテーマに対して興味を持ち、ていねいに考えられ、自分の意見を表明できることが必要なのです。そこに視点を持っていかないと、本来慶應が求める人材像と変わってくるところがあります。

進学塾はいろいろな学校に対応するし、進学校は大学受験の結果を求められる分、その素養がある子を採りたいと思うからそういう出題になるかもしれませんが、慶應はそうではない。

だからまずしっかりと過去問を見て、何が求められているのかをつかんでもらいたいと思います。

慶應が求める力がついているのか

今の中学入試体制というのは、多くの塾で一斉に競争を行って序列化し、上位の子から上位校から順に入っていく、というイメージだろうと思うのです。

だから偏差値がなるべく高い方が良い、と保護者のみなさんは思っているわけですが、慶應の入試に関して言えばそういうことだけではない。

実際に1日で終わる普通部も二次試験を全員に課していますし、湘南、中等部にいたっては一次試験の後に二次試験をやって、かつ親まで呼んで面接をします。

このコロナ禍で、面接試験を中止した学校は多かったでしょうが、慶應は3校ともこの3年間一度も面接をやめていないのです。

つまり、求めるものが明確にあり、「必ず会ってから採る子を決める」からです。

実際に偏差値の序列順に入っているのか、と言えばそうではありませんし、また普通部、中等部、湘南でやはりそれぞれ視点が違うのです。

今回の入試を通じでもやはりその違いははっきりしていました。

現在の受験体制では、実に大変な思いをして準備を進めているご家庭が多いでしょう。

しかし、本当に慶應が求めている力がついているのかといえば、そうではない面がやはりあります。

入試問題と照らしてみればすでにオーバースペックなところもあるし、本来やらなければいけない練習ができていないところもあるのです。

ただ序列化の上位にいるだけでは合格しない、という点ははっきりしています。

ですから、出題や入試から逆算して準備を進めていかないといけないわけで、今回の説明会ではその内容を詳しくお話したいと思います。

残席が残りわずかになってきましたが、慶應3校受験をお考えならぜひご参加ください。

2023 慶應入試説明会のお知らせ

プラスティックに関する問題

2023年慶應義塾中等部の出題です。

次の文章を読み、各問に答えなさい。

プラスチックは石油から作られるため、燃やすと温宰効果ガスが出てしまいます。近年では、海で漂ううちに細かく砕かれてできた( あ )プラスチックが海洋牛物の体内に取り込まれてしまうことが問題となっています。この対策として、プラスチックの代わりに、紙や木材などの環境に優しい素材へ切りかえる動きがみられます。また、植物から作られた( い )プラスチックを使用することで、人気中の二酸化炭素の総量を増やさない「カーボン・( A )」という方法も注口されています。他にも、( う )プラスチックと呼ばれる、自然の中で分解されるプラスチックの導入も始まっています。
日本では、2022年4月からプラスチック( B )促進法という法律が施行されました。この法律は、これまでの①3R(リデュース・リユース・リサイクル)にリニューアブルも加えて、環境に優しい社会の実現を進めていくために定められました。例えば、コンビニエンスストアなどでもらえる( え )プラスチックのスプーンやストローを減らすことや、リサイクルまで考えた商品の開発をすることなどがあげられます。また②「特定プラスチック使用製品」として12品目が定められ、お店やホテルにはこれらを環境負荷にならないように提供する工夫が求められています。

問1( あ )~( え )の正しい組み合わせを選び、数字で答えなさい。

   ( あ )  ( い )  ( う )   ( え )
1  生分解性   ワンウェイ  マイクロ   バイオマス
2  バイオマス  生分解性   ワンウェイ  マイクロ
3  マイクロ   バイオマス  生分解性   ワンウェイ
4  ワンウェイ  マイクロ   バイオマス  生分解性

問2( A )・( B )の正しい組み合わせを選び、数字で答えなさい。

   ( A )    ( B )
1  イコール    ゴミリサイクル
2  セーブ     ゴミ循環
3  ニュートラル  資源循環
4  リミテッド   資源リサイクル

問3 下線①について、語句の意味を正しく説明している組み合わせを選び、数字で答えなさい。

   リデュース    リユース    リサイクル  リニユーアブル
1  くり返し使う  作り変える    再生可能    減らす
2   再生可能    減らす    くり返し使う  作り変える
3  作り変える   再生可能     減らす   くり返し使う
4    減らす    くり返し使う   作り変える   再生可能

問4 下線部②について、お店やホテルの工夫としてふさわしくないものを選び、数字で答えなさい。

1 飲食店は、マイはしやマイボトルを持ちこんだお客に商品を提供しないようにする。
2 クリーニング店は、ハンガーを店頭で回収し、リユースやリサイクルをする。
3 コンビニエンスストアは、プラスチック製のスプーンやフォークを有料で提供する。
4 ホテルは、歯ブラシやくしなどを宿泊客がロビーで必要な分だけ持っていけるようにする。

【答え】
問1 3
問2 3
問3 4
問4 1

特に難しい問題ではないと思います。今後これらの問題はさらに頻出するでしょう。新しい言葉はどんどん出てきますので、確実の覚えていく必要があります。

2023 慶應義塾中等部 入試結果

2023年の慶應義塾中等部の入試結果がまとまりました。

【応募者数】男子856名 女子 448名
【一次試験受験者数】男子 697名 女子352名
【一次試験合格者】男子 289名 女子 110名
【二次試験受験者数】男子 250名 女子104名
【二次試験合格者】男子 135名 女子 58名
【補欠繰り上がり候補】 男子38名 女子29名

今年は男子定員が140名から120名に減少し、普通部の発表が中等部の一次試験の前に行われたので男子一次の受験者数が891名→697名と22%減少しました。
来年の普通部発表日程によってはまた揺り戻しがあるかもしれません。

反論を書く

2023年 慶應義塾湘南藤沢中等部の国語の問題です。

例年100字~200字程度の作文が課される湘南ですが、今年は以下のような問題でした。

あなたの目の前に次の意見を述べる人が現れたとして、あとの問いに答えなさい。

 「甘いモノって、誘惑は強い割にだいたい体に悪いじやないですか。肥満とか生活習慣病にも繋がるし。だから、国なり県なりで税金をかけて、値段を上げていけば自然と国民・県民の健康が増進されるって
思うんですよ。子供の身体の生育に必要な部分もあるでしょうから、料理に使う砂糖とかは例外として、生活習慣病の人の食生活をある程度追い駆けてみて、どう見てもいけないなあと思うような品目だけでいいんですよ。課税しましょう。」

 問 あなたはこの人と対話をしています。この人の意見に百六十字以内で反論しなさい。

  ※ この人に反論するにあたって適切な言葉づかいで笞えること。

  ※ 原稿用紙の使い方に従って書くこと。ただし、一マス目から書き始め、改段落はしないこと。

課題は反論です。したがって、この人の意見に反対しないといけない。この人は甘いものについて課税しよう、という主張をしています。ですから、この課税には問題がある、という指摘をしなければなりません。
短い時間でしかも60字。ディベートを想定した問題と言えるでしょう。