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中等部の理科

中等部の理科は選択型でした。

ここ数年、国語や社会では選択型の問題以外の問題を出そうという試みが続いていますが、理科は一貫して選択型一本だったものの、ここにきて、一応何問か、用語解答をするようになりました。

中等部の答案は左と右に分かれます。

理科はこれまでは左だけで済んでいましたが、ここ数年右側も必要になってきました。

とはいえ、やはり選択型がほとんどを占めます。

形式はそうなのですが、内容は毎年工夫が凝らされています。

実験の問題を出すこともあれば、植物の割と細かい問題を出すこともあります。ただ、これは慶應全体に言えることですが、あまり難しい計算問題を出すよりはやはり生物や地学のような実際に観察をして考える問題を出題することが多いようです。

中等部の問題は25分で50点満点ですが、問題数が案外多く、スピーディーに解いて行かなければいけないところがあります。実験の問題のときなどは説明の文章が長くなってくるので、当然25分間でやるのはなかなか大変です。

で、50点満点で多くの受験生が7割は最低とってくるような感じなので、このラインは絶対に崩さないようにしておく必要があります。特に生物、地学の問題については知識をしっかり覚えてください。

生物といえば普通部、と思われますが、しかし中等部も割と生物の出題は凝っていると思います。

平面図形の問題

三角形ABCがあります。下の図のように、直線DG、GE、EH、HF、FCをひいて、三角形ABCを面積が等しい6個の三角形に分けました。

(1)AE:EBを求めなさい。
(2)点Fと点Gを直線で結び、三角形EFGをつくります。
  三角形EFGの面積は三角形ABCの面積の何倍ですか。

【解説と解答】

(1)
AD:DE=1:1 AE:EF=3:1 AF:FB=5:1ですから、
AB=【12】とすると、FB=【2】 AE=【12】÷6×5÷4×3=【7.5】
より7.5:4.5=5:3
(答え)5:3
(2)
AG:GH=2:1 AH:HC=4:1からAC=15とすると、AH=12 AG=8
AG:GH:HC=8:4:3
AE:EF:FB=7.5:2.5:2=15:5:4 
三角形AEG=三角形ABC×15/24×8/15=三角形ABC×1/3
AE:EF=3:1だから
三角形EFG=三角形ABC×1/3×1/3=三角形ABC×1/9
(答え)1/9

中等部の国語

中等部の国語は普通部や湘南に比べ、明確な特徴があります。

語彙やことば、漢字、文学史などいわゆる知識問題が多いことです。これはある意味、これからの対策で結構得点を伸ばせる部分でもあります。

特に漢字に関してはここのところコンスタントに20題出てきているので、結構大きな配点になります。したがって点数を取る工夫をしていかなければなりません。

ただ、中等部の知識や漢字はいわゆる暗記テキストにはあまり載っていません。

実際に過去問をやってみると、結構難しい書き取りがあるし、これらの書き取りはまず塾の暗記テキストには載っていないでしょう。

では何を見ればいいのか?

傾向はここのところ大きく2つあります。

1つは新聞記事から問題を作っているようなイメージの問題。

大統領のソッキン

コンメイの度を深める

オウネンの名選手

などはその例でしょう。

もうひとつがことわざや故事成語

論語の「利を見て義を思う」

果報は寝て待て

悪銭身につかず

などはその例です。

したがってこの2つのことを想定しながら漢字の練習をしていけばいいのです。

故事成語は漢字だけではなく、単独のことばの問題としても出るので、少しまとめて勉強をした方が良いでしょう。

これらは言葉の問題として独立して出題されるだけでなく、長文の問題でも熟語や漢字の問題は良く出題され、これは普通部や湘南と明らかに違う出題傾向になります。

なかなか当てるというところまで行かない部分があるかもしれませんが、新聞をよく読む、故事成語を勉強するという2点で対応ができる部分があるので、これはぜひやっておきましょう。

中等部の算数

中等部の算数は答える形式が独特です。

例えば135が答えだとするとアイウと3つの解答欄があるのでアに1イに3ウに5と書きこむようになっています。つまりある程度答えの形式はわかる。自分の答えが4ケタなのに、解答欄が3つしかないとすれば、これは自分の答えがおかしい。

つまり、そういうチェックが自動にできるところがあるので、子どもたちのミスの発生率は他の形に比べれば少なくなります。したがって、結構得点は伸びやすい。

ここ数年、多少差がつかないというところがあったのか、今まですべての問題が比較的やさしい問題であったのが、多少難しい問題も顔を出すようになりました。6番あたりにそういう問題がある。

しかし、それ以上に他のやさしい問題を落とさないことが大事。難しい問題は正解率が高くないが、やさしい問題は正解率が高い。ということはミスを起こすと差をつけられてしまうことになります。

中等部の対策はまさにここです。

つまり、標準的な問題をミスなく解き上げる、ということ。これに尽きます。

この練習は過去問が良いと思います。過去10年分はもちろん、もう少し後ろの年度もやってもいいかもしれない。標準的な問題というのはパターンが変わらない。変わらないから多少問題が古くても充分勉強になります。

最初は時間を計らなくてもかまわないが、ミスは起こさないように解き上げることが大事。あわてて時間内におさめてもミスだらけになることが多い。まず確実に解き上げるようにすることが優先です。そしてそれが速くなっていけば、やがて制限時間内におさまっていく。それができるようになったら、次に6番以降のやや難しい問題も半分ぐらいはできて、全体として8割にもっていけるように練習することです。

中等部は300点満点で、理科社会の問題数も多い。したがって算数の1問5点というのは総点としてかなり影響が大きい。1問間違えると社会3問とか4問に匹敵するからやはりミスしないに越したことはない。

難しい問題よりも、ていねいさ、ここに力をいれていきましょう。

なお、出題分野は大問7題から8題あるので、ほぼ全分野にわたっています。したがって分野の中で不得意なものは作らないことも大事。速さが得意でないなら、速さを、平面図形が苦手なら先に平面図形を集中して勉強して、穴をなくすようにしていきましょう。

比と割合に関する問題

2022年 慶應普通部の問題です。

A、B、C、Dの4人がそれぞれお金を持っています。4人の所持金の合計は9000円で、Aの所持金はBより多く、Cの所持金はDより多いです。AとBの所持金の差とCとDの所持金の差の比は5:3で、AとDの所持金の和とBとCの所持金の和の比は8:7です。
(1)AとDの所持金の和は、BとCの所持金の和よりいくら多いですか。
(2)AとCの所持金の和を求めなさい。

【解説と解答】
(1)
A+D:B+C=8:7
A-B:C-D=5:3
A+B+C+D=9000円ですから、A+D=9000÷(8+7)×8=4800円
B+C=9000-4800=4200円 4800-4200=600円
(答え)600円
(2)
A-B=(5)C-D=(3)
D=【1】とすると、C=【1】+(3)
A=4800―【1】、B=4800-【1】-(5)
B+C=4800-【1】-(5)+ 【1】+(3)=4800-(2)=4200円
より600円=(2) (1)=300円
A+C=4800+300×3=5700円

(答え)5700円

普通部の3番。簡単そうでいて、ちょっとそうでもないところがある感じです。引っかかると焦りを生んでしまうかもしれません。