時事問題対策は必要

2020年慶應普通部の問題です。

次の文を読んで,あとの問いに答えなさい。

昨年の5月には,天皇の退位による改元が行われました。退位された天皇の皇太子時代に,かつて慶應義塾長であった小泉信三は,その教育を任されていました。その際に,小泉による講義で使用されたのが,福澤諭吉の『帝室論』でした。『帝室論』は,1882(明治15)年に新聞『時事新報』に連載され,日本の皇室のあり方について福澤の考えを著したものです。福澤はこの中で,「帝室は独り万年の春にして,人民これを仰(あお)げば悠然(ゆうぜん)として和気を催(もよお)すべし」(注1)と説きました。①皇室は政治から独立して日本国民の心を和らげ通じ合わせたり,学問芸術を奨励したりするべきであるという福澤の考えは,終戦後の新しい時代の天皇の姿に通じるものであり,小泉は皇太子の教育にふさわしいと思ってこれを活用したのです。

新旧の憲法の間で,天皇の地位は大きく変化しました。旧憲法の(ア)憲法は1889年2月11日に発布されました。翌年の10月には,国家主義の理念から忠君愛国を主旨とする「教育に関する(イ)」も発布されました。旧憲法下では天皇は神のように尊いとされ,国の政治の(ウ)者であり,(エ)を統帥(すい)(注2)しました。一方新憲法下では,政治への権限をもたずに,(オ)の助言と承認に基づき②国事行為を行う存在となりました。
(注1)「国民が皇室を仰ぎ見る時に,皇室は国民の心の中に春の穏(おだ)やかで暖かな風を感じる万年の春のような存在であるべきである」ということ。
(注2)支配下に置いて指揮をとること。

1.(ア)~(オ)に当てはまることばをそれぞれ漢字で書きなさい。(イ)はひらがなでもかまいません。

2.下線部①のような考えは,新憲法の中で天皇の地位として何ということばで表されているか書きなさい。

3・下線部②について,憲法で定められた国事行為に当たらないものを次のア~オから二つ選んで記号で答えなさい。

ア.諸外国を訪問すること。
イ.外国の大使などをもてなすこと。
ウ.国会を召集すること。
エ.衆議院を解散すること。
オ.震災などの被災地を見舞うこと。

【解説と解答】
慶應3校の出題にはそれぞれ時事問題が出題されることがよくあります。決して細かい情報を求めているわけではありませんが、小学生としてこのくらいは知っておいてもらいたい、というようなことと、社会の知識を混合した問題が多いようです。

1
(答え)ア 大日本帝国 イ 勅語 ウ 主権 エ 陸海軍 オ 内閣
2
(答え)象徴
3
憲法によって定められている、という項目です。
内閣総理大事の任命、最高裁判所長官の任免、憲法改正、法律、政令及び条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙の施行の公示などがあります。
この問題では「あてはまらない」と指定していますので、アとオが答えになります。
イがひっかかりやすいかと思いますが、憲法第7条第9号に外国の大使及び公使を接受すること。とあるので、これはあてはまります。


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