労作展の意義

きっと今頃、普通部の生徒諸君は労作展の作品に頭を痛めていることでしょう。

普通部には文化祭がありません。その代わりとしてこの労作展がある。労作展というのは、生徒たちが思い思いの研究や作品を発表する。1学期に何をするのか、何を作るのかを決めて、夏休みに制作する、あるいは研究する。その成果を9月末の展示会で発表するわけです。各教科が採点をするので、賞も出るが、実はこの労作展は非常に教育的な意義があると私は思っています。

しかもそれは中2以降に出てくる。

中1ははっきり言えば保護者がかりです。見ていればわかるが、中1の作品が一番すごい。これは一族郎党、すべてのエネルギーを注いだだろう、みたいなところがあるわけですが、しかし、見た目はすごくとも、本人の教育にはあまりプラスにはなりません。

そういう憑き物が落ちる中2からがおもしろい。

子どもが何に興味を持ち、何を作るのか。見ていると、明らかに手を抜いているな、と思えるものもあるが、中には本人が本気で仕上げたものも少なくない。

そして、この本気が、その先の将来を暗示している部分があります。つまり、そこまで関心を持っていろいろなことを調べ、創り出したものだから、そこに本人のアイデンティティが明確に表れている。これは労作展がなければ、もしかすると見つからなかったかもしれないのです。

しかし、これがあるからこそ、子どもたちは「何をしたいか?」と考えただろう。そしてその結果として、自分はこうしたい、と思うものが見えたはずなのです。

もちろん、それが決まりではないでしょう。この先にもまたいろいろな変化があるだろうが、しかし、労作展で考えられた、ということは子どもたちにとっては有意義なことのように思えるのです。

あまり労作展のようなイベントを他の学校では聞きませんが、これは他の学校でもやっていい企画だと思います。

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