入試問題解説」カテゴリーアーカイブ

あわてない

入試に出る問題は、今まで一度もやったことがない、ということが当然あり得ます。ただ、落ち着いて問題を読めば、十分に答えられる問題も少なくない。

これは2013年 慶應中等部の問題です。


フェルトペンやボールペンに使われるインクには、水に溶けやすい水性インクと水に溶けにくく油類に溶けやすい油性インクがあります。また、それぞれのインクには様々な色素が使われています。これらのインクをろ紙の端から数cmのところにしみ込ませ、その端をガラス容器に少量入れた液体に浸すと、液体がろ紙にしみ込みながら上がっていき、液体の上昇とともにインクの含んでいる色素が移動していく(展開という)のを観察できます。このとき、色の上がる速さは、その色素の、用いた液体(展開液)への溶けやすさやろ紙との結びつきやすさによって変わることが知られていて、この方法で色素の種類を調べたり、混ざっている色素を分けたりすることができます。このような実験方法をペーパークロマトグラフィーといいます。この方法を用いた次の実験1、2の結果を参考にして、あとの問いに答えなさい。

〔実験1〕展開液として、水、液体A、液体Bを用いて、赤色のインク(ア)~(エ)を展開させたところ、下の図のような結果になった。(×はインクをつけた位置、点線は展開液の上がった位置を示す。)

図1

                                        
〔実験2〕展開液として、液体A、B、C、Dのうちの2種類を用いて、次の手順で、緑色、紫色、茶色の油性インクをそれぞれ展開したところ、次の図1~3のようになった。

図2

図3

(1)赤色のインク(ア)と(イ)の説明として、正しいものを次の中から選びなさい。
1(ア)は水性インクで、(イ)は油性インク
2(ア)は油性インクで、(イ)は水性インク
3(ア)も(イ)も水性インク
4(ア)も(イ)も油性インク

(2)赤色のインク(ウ)と(エ)を水を用いて展開したときの様子を下の1~4の中からそれぞれ選びなさい。

図

(3)【1】~【3】に示す2種類の色のインクに共通して含まれる色素の色を次の中からそれぞれ選びなさい。

    【1】緑色と紫色 【2】緑色と茶色  【3】紫色と茶色

 1 赤   2 青   3 黄   4 ピンク  5 オレンジ

(4)緑色、紫色、茶色のインクに含まれる色素のうち、液体Bに最も溶けやすい色素の色を次の中から選びなさい。

 1 青   2 黄   3 紫   4 茶   5 ピンク


(1)実験1で水の結果からアは展開しているのに対してイは展開していません。
したがってアは水に溶ける性質をもち、イはそうではないことがわかります。
(答え)1

(2)ウとエは水での展開をしていません。したがって水で展開したアとイの性質と似ているかどうかで考えればいいことになります。
液体A、Bの展開を通じてアはエと似ていて、イはウと似ていることがわかります。
したがってウは水では展開しないので、1、エは展開するので4ということになるでしょう。3は途中が切れているので、展開の性質が違います。
(答え)ウ 1 エ 4

(3)緑色の展開の結果は図1より青と黄色です。 紫色は図2より紫とピンクと青が入っています。また茶色は図3から茶色とピンクと黄色が入っています。

したがって緑と紫に共通しているのは青。

緑と茶色に共通しているのは黄色。

紫と茶色に共通しているのはピンク。

(答え)【1】 2 【2】 3 【3】 4

(4)液体Bは図1から図3では左から右に展開しています。
右側に広がった黄色とピンクですが、より右側に行ったのは黄色ですから、黄色が一番とけやすいことがわかります。
(答え)2


問題自身は実験内容と結果を良く読めば、わかるものでしょう。
大事なことは、「これは習ってない」などと考えないことです。実際に意外な問題が出題されることはあるが、当然、それは受験生であれば解ける、と考えて出題しているわけだから、あわてない。じっくり問題と向き合う姿勢を鍛えていきましょう。

 

=============================================================
今日の田中貴.com

後半に向けて
==============================================================
受験で子どもと普通に幸せになる方法、本日の記事は

得点力
==============================================================

==============================================================
慶應進学オンライン
==============================================================

==============================================================

==============================================================


コンパスと定規

普通部はコンパスと定規、分度器を持ってくるように指示されます。で、どう使うのか、例えば理科や社会でもグラフを描くのに使ったりするのですが、これは2015年普通部の8番です。


下の図のように、同じ半径の3つの円が一列に並んでいます。アの円が矢印の向きにイの円、ウの円に沿って移動します。

 ① アの円が一周して元の位置にもどるまでに、アの円の中心が動いたあとの曲線を解答用紙にかきなさい。
 ② 円の半径が6cmのとき、①の曲線の長さを求めなさい。円周率は3.14とします。


【解説と解答】
普通部はコンパス、定規、分度器を持参しますので、作図の問題は出題される可能性があるわけですが、今年はこれが作図問題になりました。

正三角形をしっかりコンパスで作図した上で、青い線を描きます。

で、あとはこの青い線の長さを出します。

半径が12cmになることに気をつけましょう。12×2×3.14×$$\frac{240}{360}$$×2=32×3.14=100.48

(答え)100.48cm

そろそろ、筆箱に常備しておきましょうか。

=============================================================
今日の田中貴.com

夏休み明け、ヒトの話はどうでもいい
==============================================================
受験で子どもと普通に幸せになる方法、本日の記事は

復習、復習と言われるが・・・
==============================================================

==============================================================
慶應進学オンライン
==============================================================

==============================================================

==============================================================


仕切りの問題

2013年慶應湘南の問題です。


底面の半径が6cm、高さが20cmの円柱の容器がある。この円柱の容器には、図1のように2つのしきりア、イがついている。Oは底面の円の中心であり、軸00′は底面に垂直である。しきりアはたてが20cm、横が6cm、しきりイはたてが10cm、横が6cmの長方形で、容器の底面に垂直である。
 しきりアは固定されており、しきりイはOO′を軸として回転する。図2は円柱の容器を上から見た図である。はじめ、Aの部分の底面のおうぎ形の中心角は250°で、Aの部分には628cm3の水が入っており、Bの部分は空である。なお、しきりの厚さは考えないものとし、しきりと容器のすきまから水はもれないものとする。また、円周率は3.14とする。

しきりイを、はじめは時計回りに毎分12°ずつ回転させる。
(1)Aの部分からBの部分に水がこぼれ始めるのは、しきりイを回転させ始めてから何分何秒後ですか。
(2)Bの部分の水面の高さが2cmとなるのは、しきりイを回転させ始めてから何分何秒後ですか。
Bの部分の水面の高さが2cmとなった時点で、しきりイを反時計回りに毎分12。ずつ回転させる。
(3)Aの部分とBの部分の水面の高さの比が7:2になるのは、反時計回りに回転させ始めてから、何分何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)Aの底面積が628÷10=62.8㎝2 になったら一杯になります。
6×6×3.14× x/360=62.8より x=200°
(250-200)÷12=50÷12=4 1/6 分=4分10秒後
(答え)4分10秒後

(2)Aはいっぱいになっているのでこのとき体積は
6×6×3.14×2+Aの底面積×8と考えることができます。
628=3.14×200なので Aの底面積は(200-72)÷8=16より16×3.14になります。
全体の底面積は36×3.14なのでAの角度は160°。
(250-160)÷12=7.5分=7分30秒後
(答え)7分30秒後

(3)Bの中心角は360-160=200°ですから入っている水の量は6×6×3.14×200/360×2=40×3.14
200-40=160よりAには160×3.14入っていますから体積の比はA:B=4:1です。
これが高さの比が7:2になるのは底面積の比が 4/7:1/2 =8:7になるときですから、
Bの中心角は360÷(8+7)×7=168°。したがって200-168=32°減るので
32÷12=2 2/3分=2分40秒
(答え)2分40秒

=============================================================
今日の田中貴.com

力のつりあいに関する問題
==============================================================
受験で子どもと普通に幸せになる方法、本日の記事は

WEB出願のメリット
==============================================================

==============================================================
慶應進学オンライン
==============================================================

==============================================================

==============================================================


場合の数の問題

2015年普通部の問題です。普通部はいろいろな範囲の問題を出題するので、場合の数も必ず出題されてきています。


(1)下の図のように、すべて正方形に整備された道路を、A地点からB地点まで遠回りしないで行きます。CD間、EF間、GH間、IJ間がすべて通行止めのとき、行き方は何通りありますか。


【解説と解答】
下のように足していきます。
×のところは通れないので、片方だけになることに注意すれば良いでしょう。

(答え)61通り


(2) 0、0、1、2、2、3、3の7つの数字が書かれた7枚のカードがあります。この中から3枚のカードをとって並べるとき、3けたの整数は何個できますか。


【解説と解答】
100の位が0にならないことに注意して書き出しましょう。
100、102、103、120、122、123、130、132、133
200、201、202、203、210、212、213、220、221、223、230、231、232、233
300、301、302、303、310、312、313、320、321、322、323、330、331、332
9+14+14=37通り
(答え)37通り

数字の個数が違うので、注意しながら解いていきましょう。

1問にかける時間はそれほど長くはありませんが、だからといって簡単にすぐ解ける、というわけでもないので、作業の練習もしておきましょう。

=============================================================
今日の田中貴.com

学校の宿題や自由研究は早めに終える
==============================================================
受験で子どもと普通に幸せになる方法、本日の記事は

目先を変える
==============================================================
慶應進学オンライン
==============================================================

==============================================================

==============================================================


正六角形の問題

2013 慶應普通部の問題です。


面積が6㎝2の正六角形が、下の図のように7個ぴったりとくっついています。それぞれの斜線部分の面積を求めなさい。

図 1


正六角形は正三角形が6つ入っているので、上手に切り分けていくことで、面積を簡単に求めることができます。


解説図1

図から6+3×3+1×2=17cm2
(答え)17cm2


解説図2

図から三角形ABCはBCの長さが正六角形の1辺の4倍、高さが三角形ABDのBDを底辺としたときと同じになるので、三角形ABCは三角形ABDの3倍になるから4cm2になります。左端は全部移動すると正六角形の中に納まるので、斜線部分の面積は
6×3+5+3―4=22cm2
(答え)22cm2

六角形の切り分けは割と良く出る問題ではあるので、しっかりマスターしておきましょう。

=============================================================
今日の田中貴.com

濃度に関する問題
==============================================================
受験で子どもと普通に幸せになる方法、本日の記事は

家で勉強したくなる?
==============================================================
慶應進学オンライン
==============================================================

==============================================================

==============================================================