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普通部の算数 ー傾向と対策ー

普通部の問題はすべて記述式です。

出題は8~10題で40分。ほぼ以下の分野がきれいに出題されます。

計算、速さ、規則性、数の性質、場合の数、平面図形、立体図形、比と割合

で、それぞれが基本問題よりは難しく、御三家のような応用問題ほどではない、というレベルになっています。

ですから、ただ基礎ができればいいということにはならない。が、御三家のような難しい応用問題は解けなくても大丈夫。ということなのです。

夏休みまではまず過去問を充分にやることが大事です。

過去の出題と同じような問題が出る、ということはありませんが、逆にレベル感は過去問から体得するのが一番効率が良い。

この位の問題が解けるようになれば合格する、ということがわかれば良いのです。

わからない問題があれば、徹底的に解説を読み直してしっかり理解してください。

複数回やって最後は満点に近づくことが必要です。

充分にやりこなせたら、他の学校の問題をやってもいいでしょう。

そのレベルの問題ということになると、女子学院や雙葉、フェリス、豊島岡のような女子の受験校の問題が似ているので、電話帳のような問題から練習してもいいでしょう。ただし、これは過去問が充分済んでから、の話です。

記述に関しては、やはりスペースと時間の関係でそんなにフルに解説を書くようには書けません。

したがって一番は、やはり書いて、先生に添削をしてもらうのが良い。

先生が見て問題がなければ、それで良いでしょう。詳しく書くと時間がなくなってしまうので、これは本当に練習して、しっかり書き方を体得してください。

中等部と湘南、二次試験の狙いの違い(1)

慶應湘南は、共学校ですので、慶應中等部のスタッフが開講準備を手伝い、主事(教頭職)も中等部から来ました。

しかし、湘南には湘南の事情が出てきて、やはりいろいろな違いがはっきりしてきています。

同じ二次試験をやる学校ではあるものの、その狙いはまったく違います。

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受験校か、付属校か

先日、栄光・聖光受験層のお話をしたのですが、「栄光・聖光」受験層は受験校希望だから、普通部は受けないのではないかという質問がありました。

確かに併願校のおすすめで見ると、栄光・聖光受験の2月1日校に出てくるのは、麻布、駒東、サレジオ、逗子開成という感じで並んでくるのですが、しかし、普通部も結構います。

栄光・聖光が残念で、たとえば浅野に合格したという場合でも、普通部に進学する生徒はいます。

この辺、やはり付属といっても大学による、という部分が大きいのではないかと思うのです。

またお住いの地域が神奈川であることが多いので、だとすると普通部は通いやすい。今年、相鉄が東横線に乗り入れたので、さらに便利になりました。

だから、こと慶應に関して言えば、受験校志望でも合格すると変わる可能性がある、ということです。

迷いたくないから最初から受けない、という層もいらっしゃいますし、それは家庭の判断ですが、やはり栄光・聖光志望者で普通部を併願する生徒はいます。

特に塾の指導が2月1日に偏る部分もあるからだとも思いますが…。逆に栄光・聖光を受ける生徒には慶應は受けさせない、という塾もあります。

栄光・聖光受験層

慶應普通部の受験生の中には、2月2日に栄光・聖光を受験する子どもたちが含まれます。

2月2日は湘南があるので、地域もある程度重なるが、それでも栄光・聖光を受けるということだから、本来の慶應受験生とはちょっと違うかな、という印象がありますが、やはりこの子たちは栄光・聖光に行きたい。

しかし栄光・聖光の受験生は過去麻布を受けるという流れが多かったのですが、しかし、これも良く考えてみるとちょっと遠い。

だったら普通部でも、という流れになっているところはあるのでしょう。

一応ここ数年の数字から検討すると、30名前後が栄光・聖光の流れで辞退していると考えられますが、栄光・聖光に合格すればそちらに行くので最終的に枠は空くので、普通部第一志望者はそれをあまり気にしても仕方がない。

栄光・聖光の倍率を一般的な3倍という数値で考えると、普通部の受験生600名のうち100名ぐらいは栄光・聖光志望者がいるわけで、そうすると70名ぐらいは聖光・栄光が残念になるわけだから、この生徒たちはやはり普通部にかけるところは大きい。

だから普通部第一志望者はこの層との競争は頑張らないといけない。

ただ、栄光・聖光と普通部では出題傾向がまるで違うのです。だから、普通部に絞る方が効率は上がるし、少なくとも普通部の試験では有利になる。

そのためにはやはりちゃんと普通部のための勉強をしていくことが大事で、むしろそこでは絶対に勝てるようにしていけば良いのです。

なかなか、一般的な試験で太刀打ちできないときもあるかもしれませんが、普通部勝負に集中していきましょう。

成績は良かったのに、二次で落ちた子

後から話を聞くことが多いのですが、成績は良かったのに二次でダメでした、という話をされる方がいます。

現在、普通部は二次試験を全員に課しているので、二次で落ちたという印象にはなかなかならないが、中等部と湘南藤沢中等部は二次試験が厳然とあるので、これははっきりわかる。

ちなみに湘南はスタートの段階で中等部の先生方が協力した背景があるので、どうしても中等部に近いところが出てくるのは流れとしてはあります。

で、成績は良かったのに二次で落ちた、ということで考えられる理由はひとつしかありません。

それは「来ないな」と思われた。

合格を出しても来ないと思われれば、それは成績が良かったとしても、来る子に合格を出した方が良い、と学校は考えるでしょう。

つまり書類、面接の過程などで、「来ない」と思われた理由があったということです。

慶應はどこも総合的に合否を判断する、ということになっていますから、そこには充分注意しないといけない。

特に成績の良い子が陥りがちな点でしょう。

普通部の算数は全部記述

普通部の算数は全部記述式です。

計算に始まって、解答用紙はすべて記述式になっている。

ですから、当然式や説明を書かなければいけないが、その欄は実はそれほど大きいわけでもない。

だから上手に使わないといけないし、書き方にも工夫が要ります。

したがって普通部の答案練習の添削はやはりこれからの対策には絶対必要なメニューです。

土台40分の試験ですから、相当忙しい。それでも書かないといけないので、これはしっかり対策をしていきましょう。

合格すれば引っ越します!

慶應湘南は、藤沢市の湘南台にあります。

が、駅の近くではなく、バスで15分ほどかかります。したがって平均して子どもたちの通学時間は1時間30分程度。

でも、やはり学校にはそれだけの魅力があるので、やはり合格すれば通いたい。

ただ受けたいけれど、今の住所から遠いから合格しないかもしれない、と思われる方がいるかもしれません。

しかし、学校側の考え方としては「合格したら親が何とかするもの」だと思っています。

また面接の機会があるので、「合格すれば引っ越します!」と宣言することもできる。ウチも下の子の受験のときに、やはりそう言い切って、合格しました。

ですから、遠くだからといって気後れする必要はありません。

なかなか難しい学校ですが、でも挑戦する気持ちがあれば、距離で遠慮することはありません。

同じ慶應であっても

3校とも出題傾向は違います。

例えば、算数。

普通部は全問、記述式。答え以外に、式や計算、説明を書いていかないといけない。

一方中等部と湘南は答えだけ。

さらに中等部は1つの欄に1つの文字を書くから、分数の答え方も独特になる。

で、今の模擬試験や組み分け試験では、全問説明を書くということはないでしょう。多くの場合は答えだけ。一部記述式というのはあるわけですが、充分に練習ができているわけではない。

だから、志望校が決まったのなら、早めにそういう対策を講じていくことが大事なのです。

式を書け、と言われても、今まで書いていないのだから、どう書いて良いのかわからない、というのはよくあること。

それに解説を書いているわけではないから、40分で8問とか9問の説明を詳しく書けるはずもないわけで、そこのところをどうまとめていくかは、やはり練習が必要です。

出ることをやる、というのはそういうことなので、しっかり準備を始めていきましょう。

自らの傾向を知ることも大事

傾向というのは、別に入試傾向ばかりではありません。

むしろ子どもたちの傾向、というものを正確に把握しておく必要があるでしょう。

データを整理しましょう、というと時系列の偏差値や得点のデータをまとめられたりするのですが、これは実はあまり意味がない。

最も重要なのは何ができて、何ができないのか、を正確に把握することです。

例えば算数については主要9分野というのがあります。

平面図形
速さ
規則性
場合の数
比と割合
数の性質
立体図形
表とグラフ
文章題

やる問題をこの9分野に分けてデータをとる。初見でできる。2回目でできる。などと分類してもかまいませんが、そうやってデータを取ってみると、明らかにばらつきがあるのがわかるでしょう。
一般に子どもたちの不得意な分野は

速さ
場合の数
立体図形

の3つです。

でデータを取っていくと、その中でも例えば切断がだめ、回転体がわかっていない、などということがはっきりしてくる。それをある程度時間をとって勉強することによって理解させていく。これができなければいつまでたっても状況は変わりません。

たくさん問題をやらせるよりも、そうやって傾向を見つけて具体的な対策を実行していってください。

検算を解くプロセスに入れる

算数の計算ミスは、入試で最も気を付けなければいけないことのひとつでしょう。

慶應の場合は、必ず計算問題は出題されていますし、やさしい問題でも面倒な計算をさせることがあります。

計算は、ひっ算をきちんと書くこと。そしてもうひとつ大事なのは、その場での検算です。

検算といっても、かけ算は割算で確かめる、ということではありません。

自分のやったたての計算式をもう一度確認する、という作業のことです。

足し算でも引き算でも、同じこと。逆の計算をするのではなく、自分が今やった計算を見直す。

案外繰上りを間違えたり、小数点のつけ間違いをしたり。特に通分で計算していく場面ではミスがおきやすい。

すでに約分したはずなのに、消し忘れてまた約分してしまう、というようなことが良く起きます。

だから、確認する。

一度間違えて次の計算に移ってしまうと、自分の間違いに気が付かなくなって、最後、人数が分数になって、おかしいと見つけられてもどこにもどっていいか、わからなくなる。

そのために、その場で検算をする。

これを今から解くプロセスに入れてしまいましょう。

慣れてくると、それほど時間はかからなくなり、ミスが一段と減ります。