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受験校か、付属校か

先日、栄光・聖光受験層のお話をしたのですが、「栄光・聖光」受験層は受験校希望だから、普通部は受けないのではないかという質問がありました。

確かに併願校のおすすめで見ると、栄光・聖光受験の2月1日校に出てくるのは、麻布、駒東、サレジオ、逗子開成という感じで並んでくるのですが、しかし、普通部も結構います。

栄光・聖光が残念で、たとえば浅野に合格したという場合でも、普通部に進学する生徒はいます。

この辺、やはり付属といっても大学による、という部分が大きいのではないかと思うのです。

またお住いの地域が神奈川であることが多いので、だとすると普通部は通いやすい。今年、相鉄が東横線に乗り入れたので、さらに便利になりました。

だから、こと慶應に関して言えば、受験校志望でも合格すると変わる可能性がある、ということです。

迷いたくないから最初から受けない、という層もいらっしゃいますし、それは家庭の判断ですが、やはり栄光・聖光志望者で普通部を併願する生徒はいます。

特に塾の指導が2月1日に偏る部分もあるからだとも思いますが…。逆に栄光・聖光を受ける生徒には慶應は受けさせない、という塾もあります。

普通部繰り上げ減少の理由

2023年は慶應義塾普通部の補欠繰り上がりが15名前後であったようです。

例年20名から30名前後はあると思われていた数字が減っており、これはやはり普通部の合格発表に起因していると思われます。

男子の慶應志望者の場合、地域的に普通部と中等部を重複受験する生徒が多いのですが、例年普通部の発表が2月3日で、中等部の一次試験日になってしまうので、両校を受験する受験生がほとんどでした。

しかし2023年は、普通部の合格発表が2月2日になり、普通部第一志望者は中等部を受験しなかったことになります。

普通部が発表した合格者は定員180名に対して195名。さらに15名の補欠繰り上げとして210名ですから、30名辞退があったと考えられますが、この辞退者はいったいどこに行ったのかといえば、栄光・聖光に流れたと考えられます。(栄光・聖光の合格者の重複率は、14.2%になります。)

2022年のデータで見ると、合格発表は205名、繰り上げは発表がありませんが、およそ25名と推定されており、ここから定員180名に対して50名の辞退があったと考えられます。

2021年のデータでは、合格発表は195名で、繰り上げがおよそ35名と考えられており、同様に50名の辞退が考えられるとすれば、2022年とほぼ同じ数字になります。

ここから考えると例年20名程度が、実は中等部(もしくは湘南)との重複合格であったと考えられます。

この20名分が原因と考えると、概ね今年の数字に合致します。

今年は中等部が20名定員を減らしており、多分幼稚舎から中等部に進学する数が増えていると推察されていますが、普通部が例年通りとすると、この重複部が消えて、中等部の20名減員を吸収している、とも考えられ、そうすると中等部は今年そう難しくなったわけではない、とも言えるかもしれません。

また、今年は結局普通部の合格者は210名になったわけで、例年の230名から20名減少していることになるから、そうすると各塾の合格実績の合計もおよそ20名減少することになります。

なので、2023年の普通部は難しかった!!という結論になります。

2024年、普通部が合格発表をいつにするのかは、今年の9月に発表されますので、そこでまた来年の数字について大まかな予想ができるでしょう。

(なお数字はあくまで、弊館の推定です。普通部から公式の発表があったのは定員ならびに合格者数だけです。)

福翁自伝を親子で読む

毎年この時期に福翁自伝を親子でお読みになることをすすめています。

本人だけでなく、お父さんも、お母さんも、です。

塾員であれば読まれたこともあるとは思うのですが、しかし、なかなかその後読み返す機会もないでしょう。

子どもたちにも読んでもらう必要があるが、お父さん、お母さんにも読んでもらった方が後々役に立つことがあるかと思うのです。

幼稚舎の入試では保護者の課題になっていたこともありますが、まあ、そこまで必死にならずとも、せっかく慶應を受験するのであれば読まれておいた方が良いでしょう。

それに親子で同じ本を読むというのは、なかなかない機会だけにこのお休み中にお薦めです。

福翁自伝 (講談社学術文庫)
クリエーター情報なし
講談社

自らの傾向を知ることも大事

傾向というのは、別に入試傾向ばかりではありません。

むしろ子どもたちの傾向、というものを正確に把握しておく必要があるでしょう。

データを整理しましょう、というと時系列の偏差値や得点のデータをまとめられたりするのですが、これは実はあまり意味がない。

最も重要なのは何ができて、何ができないのか、を正確に把握することです。

例えば算数については主要9分野というのがあります。

平面図形
速さ
規則性
場合の数
比と割合
数の性質
立体図形
表とグラフ
文章題

やる問題をこの9分野に分けてデータをとる。初見でできる。2回目でできる。などと分類してもかまいませんが、そうやってデータを取ってみると、明らかにばらつきがあるのがわかるでしょう。
一般に子どもたちの不得意な分野は

速さ
場合の数
立体図形

の3つです。

でデータを取っていくと、その中でも例えば切断がだめ、回転体がわかっていない、などということがはっきりしてくる。それをある程度時間をとって勉強することによって理解させていく。これができなければいつまでたっても状況は変わりません。

たくさん問題をやらせるよりも、そうやって傾向を見つけて具体的な対策を実行していってください。

国語の選択問題を極める

慶應の国語は選択問題が多くなります。

湘南も作文問題はありますが、読解は記号選択が多い。したがって選択式問題を極めることは、慶應合格の上で大切な対策になります。

で、もちろんのことながら答えがひとつに絞られる限りにおいて、その根拠は文中にある、というお話は何度も繰り返してきました。だからこそ、選択肢に注目をしないといけないのです。

ア~エまで4つの選択肢が並んでいたとすれば、その4つの違いは何なのか?案外ここにヒントがあるのです。

違いがある、というこは、その違いが文中で否定されれば、答えではなくなる、ということ。

つまり、最初から文中をいろいろ探すのではなく、まず選択肢の違いに注目して、何を探せばいいのかを絞り込むことです。

といっても、これは練習が必要になります。

というのも、つい子どもたちは、本文に関係なく、その選択肢が正しいか、間違いかを判断してしまいがちだからです。なので、まず正しいとか、正しくないとかを考えるのではなく、何が違うのかを明確にする。

ここをまずがんばってみましょう。そうすると、選択式問題のやり方が会得できていくはずです。