生活の中の理科

2015年普通部で以下のような問題が出ました。


ひとつの住居をひとつの箱と考えます。この箱には、外から色々なものが入り、使われたものは外へ出ていきます。食料や郵便物などは人が運び入れ、空気や音や太陽光は自然に入ってきます。ここでは人々が備えて生活に役立つものを考えます。次の問いに答えなさい。

1.電柱を通して箱に入る導線には色々な種類があります。電気を使う線のほかに、どのような目的の線がありますか。1つ答えなさい。

2.次の文は、地中の管を通して箱に入るものについて説明しています。文中のA、B、Cに入る言葉を答えなさい。

  マイナス160度付近まで冷やして元の600分の1の体積にした( A )は日本が世界一の輸入国である。国内で元の温度に戻してその約7割を( B )用に、残りを都市ガス用として使用している。
 Aを元の温度に戻すときに生じたエネルギーが別の目的に活用されている。都市ガスは石油や石炭を燃やしたときに比べて( C )や窒素酸化物の排出量が少ないと言われている。

3.下線部のエネルギーは何に活用されていますか。

4. 使われた水はシンクの下の排水管を通って地中の下水管へ流れていきます。蛇口から出た水を流したあと、排水管内の水はどのようになっていますか。水の様子を描きなさい。

5. 排水管がまっすぐではなく、図のように曲がっていることで役立つことを1つ書きなさい。

6. 排水管の汚れをとるのに用いる水溶液はどれですか。次の(ア)~(オ)から1つ選び、記号で答えなさい。

 (ア)食塩水     (イ)水酸化ナトリウム水溶液   (ウ)炭酸水
 (エ)石灰水     (オ)ホウ酸水


【解説と解答】
理科の問題として考えるとやや異質かもしれませんが、しかし、こういう問題を出したい普通部の気持ちもよくわかります。

さて、1はいろいろあります。電話線もそうでしょうし、インターネットの線もそうでしょう。ケーブルテレビもありえます。
(答え)電話線

2はAが液化天然ガス。Bは発電用、そしてCが難しいかもしれませんが、石炭や石油を燃やしたときに出るものですから、硫黄酸化物になります。
(答え)A 液化天然ガス B 発電 C 硫黄酸化物

3 これもいろいろあります。ドライアイスや炭酸ガスを液化するのにも使うし、発電にも利用されます。
(答え)発電

4 曲がっているので、曲がっている部分に水がたまります。
(答え)

5 こうやって水がたまるので、下水管からのにおいを防ぎます。
(答え)下水管からのにおいを防ぐ

6 これはイの水酸化ナトリウムです。

多分、このような知識は、どの塾の暗記テキストにも載っていないでしょう。下水管の水がどうなっているか、なぜ下水管は曲がっているのか、ということもなかなか良い問題だとは思うものの、できなかった子も少なくないかもしれません。

塾ではやらないようなこと、を出す、という点では社会も同じですが、だからといって子どもたちの生活から大きく離れるようなことはあり得ないわけで、その点ではただ塾の勉強ばかり、にならないように、という学校の意思がここでも感じられます。

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