慶應を目指すのであれば、早い段階から学校別の目を持って勉強を進めていくことが大事です。
もちろん、塾ではカリキュラムに沿っていろいろな分野を勉強していくでしょう。
それはそれで必要なことです。基礎力をつけるためには、一定の範囲を一通り学ばなければならないからです。
しかし、慶應を受験する、ということで考えると、ただ塾の流れについていくだけでは足りません。
なぜか。
慶應は3校それぞれに問題の特色があるからです。
同じ慶應でも、普通部と中等部と湘南藤沢では、求められている力が少しずつ違う。
もちろん、共通して必要な力もあります。比と割合、図形、速さ、場合の数、数の性質。こうしたテーマはどこでも大事です。
ただ、同じテーマでも出し方が違うのです。
普通部なら、比較的早い段階で処理の正確さや考え方の整理が問われることがある。
中等部は、一見すると素直に見えても、途中で手を動かして考え抜く粘りが必要になる。
湘南藤沢は、後半にかけてぐっと難度が上がり、条件の読み取りや整理が勝負になることが少なくありません。
だから、「慶應対策」とひとくくりにしてしまうと、少しぼやけてしまうのです。
春の段階で大事なのは、いきなり過去問をどんどん解かせることではありません。
むしろ、保護者がおおまかな違いを知っておくことの方が先です。
この学校ではどういう問題が出やすいのか。
この子にとって、どの学校の問題が今のところ相性が良さそうか。
逆に、どの学校の問題では苦労しそうか。
そういうことを見ながら、日々の勉強に少しずつ学校別の視点を入れていくのです。
たとえば、同じ速さの問題でも、単に解けたかどうかではなく、図を描いて整理できたのか、条件を読み違えなかったか、式を立てるまでに時間がかかりすぎていないか、そういう見方をしていく。
あるいは図形でも、面積が出せたというだけではなく、補助線を自分で引けたのか、どこに注目すればよいかが見えたのか、そこを見る。
そうすると、単なる単元学習が、少しずつ志望校対策に変わっていきます。
多くのご家庭は、学校別対策というと夏以降、あるいは過去問が始まってからの話だと思われるかもしれません。
しかし、本当は春から始まっているのです。
この時期は、まだ点数で一喜一憂する必要はありません。
それよりも、子どもがどんな問題で力を発揮し、どんな場面で止まりやすいのかを見極めることの方が大事です。
そして、その見極めができると、夏以降の勉強が変わってきます。
何を優先して鍛えるべきか。
どの学校を中心に考えるべきか。
併願をどう組み立てるか。
そうしたことが、あとになって具体的に見えてくるのです。
慶應対策は、特別な教材をたくさん集めることから始まるのではありません。
まずは、学校ごとの違いを知り、わが子の現状をそこに重ねて見ていくことから始まります。
春は、その最初の一歩を踏み出すのにちょうど良い時期です。
