最近、インターネットをはじめとして情報が簡単に手に入るようになりました。
したがって多くの情報に接しているうちに、何がなんだか、わからなくなる、ということがあるのではないだろうかと思うのです。
むしろ選択肢はこれしかありません、という方が選びやすい。しかし48種類も選択肢があったら、選びようがない。
実はこれからの社会はさらに選択肢が増えていくような気がしています。どこに住むか、も今までは日本、だったのが、もう世界中に散らばっているので、選択肢はいくらでもあるわけです。
ということで、選ぶ、決断するということが、これからの人たちは難しくなってきたように思うのです。
以前、慶應湘南の卒業式で、卒業生代表が
「私たちは決断を強いられてきました。」
と話していました。
私はある違和感をもって聞いていました。
「決断を強いられる?」
しかし、自由な学風の中でまさに彼らは「選ばなければならなかった」ところがたくさんあったのです。むしろ、これからもっと決断を強いられる、たくさんの選択肢の中から選ばなければいけないことがおこる。
そのために、
「私たちはとても良い経験を積んできた」
と話をしていました。
これは慶應の諸学校にみな、共通する感覚です。
ただし、学校は「決断しなくていい」とは言っていない。
「決断しないのも自由だ」とは言っていない。
常に決断を強いている、ということなのです。
決断を強いられる、ということは結局、決断をしなければならないわけで、それは前へ進まなければいけない、ということに他なりません。
若いころから、その習慣を得たということを生徒たちが「得難い経験」であった、というのはそれが彼らにとって自分たちが生きていく上で最も重要なことであったと感じているからでしょう。
「大学受験がないから、ぬるま湯でしょ?」
と大学付属校は思われるかもしれませんが、受験とは違う面での切磋琢磨はやはり脈々としたものがあるのです。
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