過去問を始めるとき、「何年分やればよいのか」という質問をよく受けます。
基本的には、現在市販されている過去問題集に載っているものは、全部やってよいと思います。学校によって収録年数は違いますが、販売されている範囲であれば、まずはそこを一通り見ていくことが大事です。
ただし、過去問の使い方を「本番と同じ時間で解いて、点数を出すこと」だけだと考えると、年数を重ねる意味が少し薄くなります。過去問は、その学校がどのような出題をしているのか、どの分野を重視しているのか、どのくらいの処理力や知識を求めているのかを知るための材料です。
ですから、古い年度の問題であっても、十分に勉強になります。
社会は注意が必要
一方で、社会については少し注意が必要です。
特に統計資料や時事問題は、年度が古くなると、現在のデータや状況と合わなくなることがあります。人口、貿易、産業、農産物の順位、国際情勢などは変化しますから、古い問題をそのまま覚えてしまうと、かえって危ない場合があります。
社会の古い過去問を使う場合は、「この知識は今も同じか」「統計は変わっていないか」を確認しながら進める必要があります。時事問題についても、その年の出来事として見る分には意味がありますが、現在の入試にそのまま使えるとは限りません。
算数・国語・理科は古い問題も使える
一方、算数や国語、理科については、販売されているものより前の年度に遡っても、十分に練習になります。
算数で問われる条件整理、図形、速さ、割合、規則性などは、年度が古くなっても本質的な力は変わりません。むしろ、その学校らしい問題の作り方を知るには、古い年度まで見ていくことが有効です。
国語も同じです。文章の長さ、設問の聞き方、選択肢の作り方、記述の有無などは、その学校の出題姿勢を知る手がかりになります。もちろん文章そのものは年度ごとに違いますが、「何を読み取らせようとしているのか」という傾向は、続いていることが少なくありません。
理科についても、基本的な考え方や実験・観察の読み取りは、古い問題でも十分に役立ちます。知識問題で一部の表現や扱いに注意が必要な場合はありますが、問題を通して考える練習としては大いに意味があります。
普通部の理科は多くあたっておきたい
特に慶應普通部の理科については、できるだけ多くの問題にあたっておきたいところです。
普通部の理科は、生物分野のテーマが繰り返し出てくることがあります。植物、動物、人体、季節と生物の関係など、単に知識を覚えるだけでなく、観察したことをどう考えるか、身近な自然をどう見ているかが問われます。
こうした問題は、一年分だけ解いてもなかなかつかみにくいものです。複数年度にわたって見ていくことで、「普通部はこういう見方を大事にしているのだな」ということが少しずつわかってきます。
だからこそ、普通部を志望する場合は、理科、とくに生物分野については、なるべく多くの過去問に触れておくことが大切です。
年数よりも、何を学ぶか
過去問は、何年分やったかだけで安心してはいけません。
大事なのは、その過去問から何を学んだかです。間違えた問題を直すだけでなく、「この学校は何を聞いてくるのか」「自分はどこでつまずきやすいのか」「どの分野をもう一度勉強し直すべきか」を見つけることに意味があります。
販売されている過去問は、まず全部やる。そのうえで、算数・国語・理科については、必要に応じてさらに古い年度まで遡る。社会は、統計や時事問題に注意しながら使う。
このように考えていけば、過去問は単なる点数確認ではなく、志望校に近づくための大事な教材になります。
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